朝倉五代が栄華を極めた越前一乗谷とは

一乗谷朝倉氏遺跡、朝倉館唐門
一乗谷朝倉氏遺跡のシンボル朝倉館唐門

朝倉孝景が黒丸城(福井市三宅町)から本拠地を移し、以後朝倉家五代が戦国時代の越前守護として栄えた地が、一乗谷です。
最近では、ソフトバンクのCMのロケ地、ブラタモリやNHK大河ドラマ「麒麟がくる」越前編の舞台にもなっています。
それでは、一乗谷とはどのようなところなのか、ひとつひとつ見ていきましょう。

一乗谷の位置情報

どこにあるの?

福井県福井市城戸ノ内町(福井市の南東約10㎞)に位置する一乗谷は、戦国時代に越前の国を治め、朝倉五代103年に亘り栄華を極めた場所です。

九頭竜川支流の足羽川の、さらに支流である一乗谷川沿いの谷あいにあり、東西約500m、南北約3㎞と狭小ながら、福井平野の端から山地に入ってすぐの場所に位置し、数㎞先の目前に北陸道や大野盆地(大野市)に通じる美濃街道、鹿俣峠を抜け越前府中(越前市)へ続く街道、北陸道と連絡した朝倉街道などが通る、交通の要衝をすぐに押さえられる立地です。

北陸自動車道 福井ICを福井市街と反対方向へ国道158号線を進み、鮎釣りに人気の足羽川から一乗谷川沿いに15分ほどすると。。。突如現れる、戦国の城下町へタイムスリップ!
途中、城下町の入り口に巨石の要害、下城戸も見どころ!(←ブラタモリでも取り上げられていましたよね)
小さな清い流れには、美しいハグロトンボやホタルが見られますよ。

蘇る中世都市としての一乗谷

日本のポンペイと言われるのはなぜ?

日本のポンペイと呼ばれる遺跡、それが一乗谷朝倉氏遺跡。
天正3年(1573)8月、柴田勝家に火をかけられ、三日三晩燃え続けたと言われる一乗谷。
当時10,000人を超える人々が暮らした城下町は灰燼に帰し、拠点は北ノ庄(福井市)に移されたために一乗谷はそのまま見捨てられ、土砂、そして田畑の下に埋もれ、忘れ去られていったのです。
けれども、そのお蔭で400年余りの時を経て今、当時のままの遺構が壊されることなく、朝倉館、武家屋敷、町屋、寺院をはじめ戦国時代の城下町が蘇る希有な場所となったのです。

日本のポンペイと言われる理由は
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イタリアの古代都市ポンペイは、ナポリの近郊にあり、当時人口20,000人を数えた古代都市遺跡。大規模な水蒸気爆発を起こしたヴェスヴィオ山の火砕流によって一瞬にして地中に埋まり、それから1700年近い間、町は悠久の眠りにつくことになります。しかし、火山灰に埋もれていた古代都市ポンペイは18世紀に発掘され、その遺跡は世界遺産に登録されています。


一乗谷全体が蘇ることができたのは、なぜなのでしょうか。

昭和42年(1967)大規模な水田の区画整理、造成改良事業が始まると、一乗谷に数多くの貴重な遺構、出土品などがあることがわかりました。日々の暮らしの利益よりも、なんとかその歴史を残そうと立ち上がった地元の有志の人々が、工事の中止を県に陳情したのです。町、県、文化庁と何度も話し合いを重ねた結果、事業は中止となりました。

こうして、400年あまりの時の眠りから目を覚ますことになるのです。

昭和46年(1971)には、一乗谷城を含む278haが国の 特別史跡 に指定されました。
一乗谷の人々の郷土を愛する強い気持ちが、この貴重な遺跡を今日へとつないだということになりますね。

出典:福井市文化遺産ホームページ

国の貴重な歴史遺産としてトリプル指定に!

  • 特別史跡・・・一乗谷城(山城)と城下町からなる、遺跡全体(面積278ha)
  • 特別名勝・・・一乗谷朝倉氏庭園の名称による4つの日本庭園
  • 重要文化財・・・朝倉氏遺跡出土品のうち、 2343点(平成19年6月時点)

    一乗谷朝倉氏遺跡が「三重指定」を受けたのは、京都の金閣寺、銀閣寺、醍醐寺三宝院、広島の厳島神社に続き、全国で5例目です。

一乗谷城は、「日本百名城」の一つとされています。日本百名城スタンプ:復原町並、福井県立朝倉氏遺跡資料館の各入場券売場にあります。

一乗谷朝倉氏庭園は、「日本三大武将庭園」の一つとされています。三重県津市の北畠氏館跡庭園、滋賀県高島市の旧秀隣寺庭園と並び称されています

一乗谷諏訪館跡庭園
諏訪館跡庭園

一乗谷朝倉氏遺跡、周辺の見どころ

朝倉氏遺跡唐門の内

  • 朝倉館
  • 朝倉義景公墓所
  • 花壇:日本最古の花壇
  • 石組み庭園:館跡庭園、諏訪館跡庭園、湯殿跡庭園、南陽寺跡庭園
  • 中之御殿
  • 一乗谷城(山城):下城戸ルート、馬出ルート、三万谷ルート ※登山に適した服装で!

朝倉氏遺跡唐門の外

  • 下城戸、上城戸:城下町の境界
  • 町屋
  • 復原町並、武家屋敷
  • 西山光照寺:印象的な不動明王像と何体もの石仏が残る
  • 盛源寺:敷地は小さいものの、立派な石仏や小さな石仏が迎えてくれる
  • 福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館:出土品、一乗谷地形模型、朝倉氏館復原模型の展示、講演など
  • 一乗滝、瓜割清水

開館時間

一乗谷朝倉氏遺跡、一乗谷城散策自由
復原町並9時~17時(入場は16:30まで) 年末年始休み
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館9時~17時(入場は16:30まで) 年末年始休み

入館料

復原町並:220円   福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館:100円

一乗谷朝倉氏遺跡では、唐門周辺や特別名勝庭園など無料
復原町並、福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館は高校生以下、70歳以上の方は無料

駐車場

一乗谷史跡公園センター駐車場(大型バス可)
復原町並北広場
復原町並南広場(大型バス可)
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館
※いずれも無料

アクセス

鉄道利用

JR福井駅からバス「朝倉資料館前」または「武家屋敷前」降車。
または、JR福井駅からJR越美北線(九頭竜線)、「一乗谷駅」下車、徒歩20分で下城戸。

いずれのバス停、駅からも一本道で迷うことはありませんが、徒歩は少々辛い距離です。
朝倉氏遺跡の散策に最も近いのは、バスの場合は「武家屋敷前」です。
JR福井駅には観光タクシーもあります。

自動車利用

北陸自動車道 福井ICから、国道158線を東へ約7.4km(11分)。
標識のままに一乗谷朝倉氏遺跡を目指します。

各施設への入館料も無料、あるいは少額で維持、拡充は苦労があるのではないかと思ってみたりもします。一乗谷朝倉氏遺跡の発掘は、昭和42年に始まったことがきっかけで、今日のような姿を復原できたわけですが、今なお発掘調査があちらこちらで続けられています。
真夏の炎天下でも、麦わら帽子を被った、どう見てもそれなりの年齢の方々が腰を折って土中を探っている姿を見かけました。

また、北陸新幹線敦賀開業の半年前を目途に、2022年10月には「一乗谷朝倉氏博物館」(仮称)の開館が予定されています。
朝倉氏館を原寸大で再現し、能の鑑賞や中世の楽器による演奏会、季節の行事を体験できるようになるそうですよ。今以上に当時のことが体感できるようになるわけです!開館が楽しみですね!